◼️ヒースクリフが「心の闇:病的な恋」を発現する話
◼️多分この後「Open eyes」とか「手紙を破る」とかを通る
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BL
□登場
ベルンハルト
標準型 大人♂️ リーダー兼聖職者
一人称:私 二人称:君 男性(大人)口調
冷静沈着で勤勉な聖職者(異端審問官)。
_片思われ
ヒースクリフ
万能型 大人♂️ 盗賊
一人称:私 二人称:貴方 丁寧口調
ひねくれ者で遊び人の盗賊(悪役)。
ベルンハルトは真面目で硬派で、なにより聖職者だ。色恋になんてまったく縁がないし、教会勤めや冒険者活動で忙しい。
だから、我慢できた。
彼は私のものにはならないが、誰かのものになることもない。私の想いは永遠にベルンハルトに捧げられ続ける。それで十分だと思っていた。思おうとしていた。
そいつはある日突然現れた。
正確には以前から同じ宿に所属している冒険者らしいが、私はベルンハルトたち以外に興味がなかったので、突然現れたように感じた。
そいつは妙にベルンハルトに懐いていた。最初のうちは犬みたいなやつだと思っていたが、少しずつ違和感を覚えるようになった。その眼差しが、ベルンハルトを見るそれが、妙にねばついていて気色が悪かった。それとなく評判を聞いてみてもなにもおかしな噂はなく、私しかその眼差しに気付いていないようだった。
「好きです」
そしてあるとき、そうベルンハルトに告げているところを見てしまった。ベルンハルトは困ったような顔をしてやんわりと拒絶していたが、相手の方はまったくめげていないように見えた。
それから私はそいつを警戒するようになった。ベルンハルトへの好意を隠さなくなったそいつは、あろうことか他の冒険者に応援されているようだった──うちの仲間たちはそうではないのが救いだった──。ベルンハルトはそう我の強い方ではないため、食事に誘われて断りきれなかったり、贈り物を受け取ったりしていた。
心底腹立たしかった。私はただ静かにこの想いを秘めているというのに、そいつは好意を隠さず押し付けてくる。軽く調べてみてもたいした実力も持っていない風なのに、ベルンハルトに近付こうなんて。
だがある時、私は見てしまった。
ベルンハルトが、そいつに微笑みかけていた。
愕然とした。足元の地面がなくなったような気がした。完全に考えの外だったが、もし、万が一、ベルンハルトがそいつにほだされてしまったら。ベルンハルトが、私の愛が、誰かにさらわれてしまったら。
ばくばくと鳴る心臓とは裏腹に私の頭は冷えていて、その最悪のシナリオを回避する術を考えていた。……私にならそれが実行できると、知っていた。
「彼、死んだそうだ」
「へえ」
「通り魔だか物取りだかわからないけど、路地裏で死んでたらしい」
「かわいそうに」
「もっと優しくしてやればよかったかな……」
「ベルンハルト、いちいち肩入れしていてはやっていけませんよ」
「……わかってる」
少し物憂げな眼差しのベルンハルトはとても美しくて、私はそっと笑みを浮かべた。
【獲得】
ヒースクリフ 心の闇:病的な恋